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著作:アーリーハッチ 著者: 社団法人 日本DIY協会認定 DIYアドバイザー 首藤浩昭 著作開始日 2003.12.16
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著作掲載対象:アーリーハッチホームページ http://www.hatchan.com/subtop.htm
2003.12掲載分(本ページ) 2004.1掲載分 2004.2掲載分 2004.3掲載分 2004.4掲載分 2004.5掲載分 2004.6掲載分 2004.7掲載分 2004.8掲載分 2004.9掲載分 2004.10掲載分 2004.11掲載分 2004.12掲載分
■カントリー家具のオイル仕上げについて
2003.12.16
木材の塗装は、ニス・ラッカー・ペンキ・ステイン・オイルなど、様々な方法があります。なかでもカントリー家具の仕上げは「オイルフィニッシュ」が圧倒的です。この方法は、木材表面に塗幕(樹脂幕)を形成させずオイルを浸透させ、木材を内部から保護する仕上げです。最大の特徴は、表面塗幕がないため、木材の肌触りをそのまま残し、さらにしっとりとした雰囲気が保てます。ただし塗幕がないため、「傷が付きやすい」「水まわりには不向き」といった短所もあります。オイル仕上げで代表的なのが「ワトコオイル」。おもにプロが好んで使用しています。木目や吸い込み差がはっきりと表れ、素材のもつ自然な特徴を最大限引き出します。よく「ステイン類」と混同されますが、「ステイン」は単なる着色効果のみ。職人用語では「泥水」。早期の色抜けがあります。一方ワトコオイルは、配合された樹脂成分が木材内部で凝固して、反りや割れを予防します。水まわりには専用ワックスを塗布します。
■ジグソーと糸ノコについて
2003.12.17
カントリー家具に限らず、木材のカット、特に「曲線」や「くり抜き」に欠かせないのが「ジグソー」と「糸ノコ」。「糸ノコは好きだけどジグソーは苦手だから・・」や「糸ノコよりジグソーが得意」と言った、得意不得意が多く聞かれます。大きな材料へのくり抜きや曲線カットは「ジグソー」で、比較的小さな材料での細かなカットは糸ノコが常識。つい苦手意識から、大きな材料を抱えて、何回も刃を抜き差ししながら糸ノコを使用する人や、小さな材料の細かな曲線をジグソーでカットしている人を多く見かけます。道具は「適材適所」。無理な使い方は、ブレード(刃)を傷めたり、仕上がりに無理が必ず生じます。「果物ナイフで魚をおろそうとする人」「出刃包丁で、りんごの皮をむいている人」、料理の世界に当てはめるとわかりやすいですね。本人は得意な道具だと思っていても、それ以上に便利な道具はあります。使い分けが出来てこそ、色んな応用が可能になり、技術も向上します。そして想いが膨らみます。
■接着剤について
2003.12.18
木工作品の制作には「くぎ」や「ネジ」が使用されます。こと「ネジ」などは、強力な接合力で、特に強度を必要とする作品の場合に欠かせません。しかし忘れてならないのは「接着剤」。「ネジでしっかり止めるのだから接着剤はいらないんじゃ」と誤解している人もいますが、これはおおきな間違い。木工品の場合、あの通称「木工ボンド」の方が、ネジより接合強度・圧着効果が、あきらかに高いのです。ネジ・釘は、木材を「点」で接合します。しかも1本の太さは3ミリ程度で、引き抜き強度に劣ります。接着剤は「面」で接合します。しかも硬化後は、木材自身の破断強度を上回っているのです。「接着剤」がメインで「ネジ・釘」はその補強と考えるのが正解です。そして接着剤には、作品の「鳴り」(ギシギシという音)を抑える効果もあります。また、よく木工関係の出版物のなかには、接着剤の紹介で「速乾ボンド」を紹介している場合がありますが、超小物作品以外には不可です。理由は「硬化が早すぎて接着力が落ちる」「硬化後には透明にならずに白濁する」などがあります。接着剤に含まれる水分と接着成分が木材内部にしっかり吸収され、はじめて効果的な接合が可能になりますので、速乾タイプではないものを使用すべきです。
■集成材と無垢材について
2003.12.19
カントリー家具に使用される木材で圧倒的人気なのは「パイン材」です。なかでもアーリーハッチも使用する「ポンデロッサパイン材」は、適度な油分と、大きめの節や独特の木目がオイル仕上げにフィットします。このパイン材は、張り合わせのない一本の木から製材されています。これを「無垢材」と呼びます。人工的な継ぎ合わせがないため、より自然な印象を与えます。こうした無垢材は、幅が広ければ広いほど、割合的に高額になります。(一本の木の直径が限界幅のため)松系のパイン材は、「大木」ではないため、市販サイズは約28cm幅が最大です。これを超えるサイズが必要な場合は張り合わせをします。さらに無垢材は、湿度影響で、その木目や導管の作用により、激しい狂いを生じ続けます。
一方、小片を人工的に張り合わせた板材である「集成材」は、無垢材ほどの径を必要としない木から製材でき、しかも広い幅のものが製品化できます。価格も無垢材に比べ、幅広のものほど、割合的に安価です。特徴は、無垢材に比べ「変形しにくい」「強度がある」といったところですが、張り合わせ部分が人工的なため、ナチュラルさが損なわれるといった面もあります。カントリー家具としては、外目から見えない部分(棚板等)に使用したり、正面材(扉・枠・飾板等)以外に使用して、奥行きのある作品に生かせます。また最近は、木目を生かした集成材も多くなっています。アーリーハッチは「無垢材」「集成材」のもつ特徴を生かし、目的のある家具作りをしています。
■「ネジ」と「ダボ」の関係について
2003.12.20
初めての方にとって、意外と選びにくいのが「ネジ」。アーリーハッチでも誌面掲載の場合には、業界の統一呼称に従い「木ネジ」という表記をしていますが、一般に「木ネジ」といっても膨大な種類があります。ネジを選ぶ大きなポイントは、「ダボ」仕上げに大きく関係します。「ダボ仕上」とは、木材にあらかじめネジの頭が沈む程度の穴(ダボ穴)を開けておき、ネジを止めた上からダボと呼ばれる丸棒を打ち込んでネジの頭を隠す方法。この丸棒(ダボ)の太さは「8ミリ」程度が一般的な太さ。ということは、「ネジの頭の部分の太さが8mm未満」である必要があります。「ダボ」より太い頭のネジだど、せっかく開けた「ダボ穴」が壊れてしまうからです。さらに「ネジ」の長さもポイント。基本的に板厚の2倍以上が基準です。当店では、パイン材(19ミリ厚)で、ダボ穴を使わない場合には「40mm長」、ダボ穴の場合には「35mm長」としています。ダボ穴の深さの分だけ、板の厚みが薄くなるからです。またネジの太さは3.5ミリ前後が妥当。細すぎても引き抜き強度が落ちますし、太すぎると木材に割れが発生します。これらすべての要件を満たしたネジを探すと、あの訳が解らないほどたくさんあるネジの中の、極一部に限られます。アーリーハッチでは、「先割細ネジ」「細軸コーススレッド」「Fビス」と呼ばれるタイプのネジを使用しています。
■木材の伸縮作用について 2003.12.21
木材は、その使用環境によって、伸縮を繰り返しています。特に湿度変化による影響を大きく受けます。家具等の木工作に使用される木材は、徹底した乾燥後に製材されています。言ってみれば脱水状態で、少しの水分でも吸収しようとする「スポンジ状態」です。室内環境は、意外と屋外よりも湿度変化が大きく、特に冬場はその変化が顕著に現れます。木材の伸縮はおもに「木目に直行した方向」におき、木目方向にはほとんど変化がありません。例えば縦長の「扉」の場合、横方向に伸縮します。多湿の時期には伸びて、乾燥時期には縮みます。「柾目」と呼ばれる「間隔の狭い木目が平行している板」は、その伸縮が顕著。逆に「板目」と呼ばれる「木目が大きく蛇行、または木目が極端に少ない部分の板」は伸縮よりも「反り・ねじれ」が発生します。板に狂いを生じさせないようにするためには、木材表面を樹脂でコーティングします。つまり「ニス」などの塗装です。こうすることにより、水分の吸収が遮断され、伸縮作用がなくなります。しかし、ナチュラル感を求めるカントリー系家具の場合、手触りが大きく損なわれるこうしたコーティング手法は、木材の呼吸を止める「窒息技法」として嫌われています。カントリー家具に現れる「木材の狂い」は、言わば「自然であるべき本来の姿」として、深くカントリーを敬愛している人々に理解され、そして歓迎されています。
■今や必要不可欠なトリマー 2003.12.22
カントリー木工作で、今や欠かせない工具のひとつである「トリマー」。このトリマーは、先端のビット(刃)を取り替えることによって、色々な用途に使い分けられる。もっとも使用頻度の高い作業としては「面取り」。「コロ付きボーズ」と呼ばれるビットを装着すると、鋭い木の面が丸みを帯びた柔らかな仕上げになる。ちなみに「ボーズ」とは「坊主頭のようにまん丸」ということ(と解釈してよい)。さらにこの丸みにも、その加減によって3種類ほど市販されている。また「段付きビット」は装飾された面取りが可能。種類はその装飾形状によって様々。また「ストレートビット」は、本体にガイド(通常は本体に附属)を装着することにより、引出しの底板用の溝を彫ったり出来る。また扉板の縁取りに使用したり、木材の「矧ぎ」(張り合わせ)加工のビットもある。このように様々な加工に使用出来るトリマーだが、そのビットは比較的高額。最も使用頻度の高い「ボーズ」でも、1本2〜3千円する。しかも刃物だけに、切れ味の寿命も短い。通常ホームセンターなどでは、20種類程度は市販されているが、必要最小限のビットを見定めて取り揃えるのが望ましい。一方、木工が注目されるにつれて、トリマー本体もアイテム増となってきたが、心臓部といえる「モーター部」の価格に閉める割合が最も高い工具のひとつであるため、1万円を切るようなタイプは「銭失い」の結果が明らか。さらに必要以上の「ビット」を数本も標準附属しているものもあるが、これもいただけない。いずれにせよ、安価なタイプは、モーター部、及び回転パーツ(ベアリング類)の不具合が比較的早期に現れやすい。電動工具は、基本的に「保証書」がない。それは「使用頻度」「汎用性から来る使用方法」が工具寿命を決定付けるという考え方が基本にあるため、「期限」として保証出来ないからである。標準的な修理工賃(技術料)のみで最低2〜3千円はかかることを認識したい。「自分はプロじゃないから」「初心者だから」といって無名メーカー品の安価なものを選ぶ人も多いが、それだからこそ信頼に足りうる道具をもつべきと思う。「腕も道具も三流」では、絶対に満足できる作品は生まれない、と自戒している。
■キャスターの話 2003.12.23
ワゴンなど、可動式にしたい家具に使用される「キャスター」。最近ではキャビネットやチェストなどにも、このキャスターを取り付けるケースが急増している。キャスターがついていれば、掃除の際に移動できることや、お部屋の模様替えの時も、床を傷つけることなく楽に動かせる利点があるためである。キャスターも他聞にもれずたくさんの種類がある。第一は車輪の材質。合成ゴムやナイロン・プラスチック製が多いが、ゴム製は「傷が付きにくい」反面、長期使用時の劣化や、加重過多による変形がある。逆にナイロン・プラスチック製は、変形や劣化がほとんどない分、傷が付きやすい。また価格面ではゴム製が若干高い。選ぶポイントは「移動頻度」が多いものは「ゴム製」、そうでないものは「ナイロン・プラスチック製」がよい。市販のオーディオラックやテレビ台など、ナイロン・プラスチック製がほとんどなのは、そうした理由も含まれる。第二のポイントは、キャスターの「耐荷重」。信頼のおけるメーカー品の場合、そのキャスターの耐荷重表示が記載されている。ただし、注意すべきは、その耐荷重は、あくまで車軸の破損限界重量であって、「スムーズに動く荷重」とは異なる。スムーズに動ける参考荷重は、耐荷重の1/4と言われる。例えばキャスター1個当たりの耐荷重が「5kg」で、その家具に4個使用した場合、全体の耐荷重は「5x4=20kg」。これが車軸の破損限界重量となり、これを超えるとキャスターは破損する。スムーズにキャスターが動かせる荷重は「20kg÷4=5kg」となる。一般にキャスターは、車輪の大きさと耐荷重は比例している。これは車輪の大きさに合わせ車軸サイズも比例しているため。その家具自体の重さはどのくらいなのか、またその家具にどのようなものを乗せるのか等を充分考慮してキャスターを選ぶことになる。またキャスターには、自動車の前輪にあたる「可動タイプ」、後輪にあたる「固定タイプ」、またブレーキ状態にするための「ストッパー付」などもある。ホームセンター等にたくさん陳列してあるキャスター。種類が豊富に見えるが、実は「車輪の素材」「車輪のサイズ」「可動・固定」「ブレーキの有無」などの違いで、相乗的にアイテムが多いだけ。要点さえつかんでいれば、必要なものははっきり見えてくる。
■壁面取り付け時の注意 2003.12.24
屋内用家具の設置場所としての種類は、「床置き型」「卓上型」「壁掛け型」の3種類に分類される。そのなかで近年大幅なアイテム減となっているのが「壁掛け型」。一昔前の住宅の室内壁は「合板」や「板材」等の木材が中心だったため、比較的容易にネジ釘が打て、そうした壁掛け型の家具も数多く制作された。しかし近年に至り、建基法による台所周辺の内装構造規制、防火目的等により、そのほとんどが「耐火ボード」(石膏ボード」を使用するようになり、またマンションに見られるような「コンクリート壁」も増えたため、その取り付けが容易ではなくなった。もっとも多い「石膏ボード」の場合、それそのものは石膏のため、ネジ釘は打てても、引っ張れば白い粉が付着して抜けてしまう。壁の下地となる木材の桟を狙って打てばよいのだが、一定間隔で通っているその桟が、家具の取付位置に合致するとは限らない。そこで使用されるのが中空壁用アンカー。現在かなりの種類が販売されているが、気になるのは耐荷重。これも様々で、中には40kgとか50kgなどと言う信じられないものもある。そもそも、石膏ボードは「9mm」「12mm」「9mm2枚張り」の3種工法が一般的。ボード自体の「点における崩壊強度」は約7kg程度。ということは、どのような強靭なアンカーを使ったところで、それを極端に超えることはまずありえない。フック式でおすすめは「石膏釘」。3本の細釘がそれぞれ角度をもってボードに打ち込まれる。不要になって引き抜いても目立たない。耐荷重は壁面で7kg、天井付で5kg(実証済み)。フック式以外では、ネジを壁内に入れ込むため、あらかじめそれを受けるアンカーを埋め込むことになるが、強度については前述のとおり。問題は、不要になったとき、ネジは取れてもアンカー自体は取れないこと。なるべく目立たないものを選ぶことになる。おすすめは薬剤注入式のプラスチックアンカー。下穴を開け極細のプラスチックアンカーを差し込み、瞬間接着剤のような薬剤を注入してボードを補強後、木ネジを差し込む。不要になった場合でも、さほど目立たない。という訳で、「丈夫そうな材質のものほど強度がある訳ではない」ということ。むしろ丈夫そうなものほど、不要時に残ったアンカーが大きく目立ってしまうことに注意が必要。
コンクリート壁については、接着式・ピン打ち式等があるが、いずれも1〜2kg程度。しかも「壁紙」による強度差が顕著で、実用木工作品は落下の懸念。コンクリートドリルによる穴あけが可能であれば別だが、いずれにせよ取付方法は少ない
■長期使用を考えた部材選び 2003.12.25
カントリー家具は、「いかに機械的な小細工を省くか」がデザイン制作のポイントと言われる。つまり「木材以外の材料を極力使わない」ということ。その意味は「仕上がった作品が、100年前だとしても、同じように作れたか」という振り返りと、「仕上がった作品が、100年後も支障なく存在するか」という将来への予測からきている。ほどこした機械的な小細工部品が、大昔に存在してはいないだろうし、そうしたものは、長期の使用に耐えられないかもしれない。いかにシンプルに、そして耐久性のある家具を創造するかがカントリー家具制作の醍醐味ともなる。木材以外に使用される部材は、ネジ釘以外では主に「丁番」や「取手・ツマミ類」。「丁番」はアンティーク系のデザインから独立して「カントリー調」とよばれる分野があるほどに市販品が充実している。しかし「取手・ツマミ類に至っては、その種類は膨大なものがあり、柄物や、シンプルな陶器製、木質のものなど、数限りない。何を選ぶかは本人の好みとなるが、その取付け方法が二つに大別されることに注意する。それは「正面ねじこみ式」と「裏面貫通ネジ式」。「正面ねじこみ式」は、ツマミそのもの(または附属ネジ)が木ネジ式になっていて、正面からねじこんで取付けるタイプ。当然、木材の裏側には達しないものを選ぶ。「裏面貫通ネジ式」は、あらかじめ木材に、附属ネジが貫通するための下穴をドリルによって開けておき、裏側よりネジを通し、ツマミを取り付けるタイプ。前者はドライバーさえあれば容易に取付けられるが、後者はドリルが必要となる。なぜこうした種類があるかというと、もともと旧来から存在するのは後者である「裏面貫通ネジ式」。これは「長期使用における耐久性」を第一に考えているからである。「正面ねじこみ式」は取付けが容易なため考え出されたもの。木材にネジを貫通させボルト式で取付けられている「裏面貫通ネジ式」に対し、「正面ねじこみ式」は木ネジでの食いつきのみなので、特にサイズや重量のある「扉」や、特に「引出し」に使用した際の耐久性には劣る。大型家具を制作の場合には、こうした面も充分考慮すべきと思う。付け加えれば、「木質タイプ」のツマミ類は、あっという間に「手あか」で真っ黒になる。ゆえに陶器類が好まれる。しかし、それも味のひとつとも言える。
存在する以前の100年を思い、存在後の100年を想像する。そこまで大げさとは言わないが、カントリー家具制作の「デザイン・制作・部材選び」には、長期使用を見据えた耐久性が大きなポイントとなる。
■電動ドリルの選び方 2003.12.26
手作り家具の制作のみならず、一家に1台あると便利な「電動ドリル」。カントリー家具制作では「釘」を使って組み立てるものもあるが、やはり収納目的の工作物になると、強度の面から「ネジ」を使用したものになる。まず木材にネジの「下穴」が必要になる。さらにネジの頭を隠すための「ダボ穴」が必要。そして肝心のネジを回すための「ドライバー」も必要になる。この「三役」をこなすのが「電動ドリルドライバー」。ドリルチャックと呼ばれる先端部分に、それぞれの「ビット」(ドリルビット・ダボ用ビット・ドライバービット)を装着して使用する。作業効率を考えると「充電式」が一般的。市販される電動工具の中で、もっとも種類の多いもののひとつ。それだけ利用価値の高い工具である。10年ほど前は「7.2ボルト」「9.6ボルト」(数値が高いほど締付強度がある)がビギナー向けの主流だったが、現在では、よりパワーを必要とする工作物への汎用性から、ビギナー向けでも「12ボルト」タイプが中心となっている。「大は小を兼ねる」ということで、小ネジの締付けから、ウッドデッキの制作までまかなえるパワーを備える。と言うわけで、おすすめはこの「12ボルト」タイプ。また充電に必要な時間にも注意。「1時間・30分・15分」などがあり、充電時間が短いほど高額。作業中にバッテリーがなくなり、その充電のために1時間も「休憩」するようでは、せっかくのやる気が損なわれてしまう。予備バッテリーを標準附属とした機種を選んだり、予備にもうひとつバッテリーを購入しておくことをおすすめする。また「バッテリー」そのものには寿命がある。ビギナー向けに販売されている機種は、その充電回数が「200〜300回」程度で寿命となる。プロ向けの高額なものになると「500回」程度。バッテリー自体の価格はビギナー向けで「5千円」前後。プロ向けは「1万円」前後。バッテリーのみでもそれだけ高額なもの。よく「12Vバッテリー2個付き」の充電ドリルドライバーが、1万円を切る価格で販売されていたりするが、およその性能と寿命が推察出来る。本職なら、遠目で見ても近寄るのが恥ずかしくなるような道具。また、トリガー(拳銃の引き金)の引き具合で速度が変わる「無段変速機能」が備わったものは使い勝手がよいが、ないものに比べ5千円程度高額。その機能がなくても「高速・低速」の切り替えスイッチはあるので、なれた人にはあまり必要ない機能と言える。決して愛国心からではないが、よりアフターサービスに信頼できる「MADE IN JAPAN」をおすすめする。そして本職が好んで使用している有名メーカーのビギナー向け製品ならば、かなり信頼できる。
■欧米に見るルーターの使用法 2003.12.27
カントリー木工作で用意したい電動工具と言えば「ドライバードリル」「糸ノコ盤」「ジグソー」そして「トリマー」。この4点があれば、少なくともアーリーハッチの作品はすべて制作できます。ところで「ルーター」という電動工具の名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、構造的には「トリマー」と同じです。もともと、両手でささえて使用する「ルーター」。これを片手で作業出来るよう小型化し開発されたものが「トリマー」になります。この大型モーターを装備する「ルーター」、日本での主な用途は、「トリマー」でまかなえる程度の作業しか認知されていませんが、実は手作り発祥の欧米では、数ある電動工具の中で、もっとも利用価値のある工具として、早くから普及しています。そしてその一番の使用目的は、なんと「木材の切断」なのです。欧米の知人がいらっしゃれば「ルーターって?」と質問してみて下さい。多分「木材を切る工具」と答えると思います。使用方法は、ストレートビット(スパイラルビット)を装着して、あらかじめ用意した「切断用の型」を木材にあて、それに沿ってルーターをなぞって行きます。「ジグソー」の場合、切断面がどうしても斜めになったりましますが、この方法だと100%垂直な切断ができ、しかも同じ曲線カットが何回でも出来ます。手先が器用で手のひらが小さく、しかも意外と芸術性に長ける日本人は、この両手がふさがる「複写型切断」の効率性よりも、技を持ってして、ひとつひとつ仕上る手作業を良しとした結果、切断のためのハイパワーを備える大型の「ルーター」よりも、装飾加工のみの小型な「トリマー」を重宝して、切断には「糸ノコ盤」と「ジグソー」を驚異的に普及させました。アーリーハッチにも「ルーター」はありますが、ここ数年ほこりをかぶったまま、寂しそうにしています。なお、当店の店長は、宮大工を祖先に持つ「ジグソーの世界的達人」を自称する、手のひらの小さな典型的日本人です。
■日本人のための「木取り」の注意 2003.12.28
木工作品を作ろうとする時に、まず必要となるのが、既製の木材からどのようにパーツを切り出すのかを書いた設計図、これを「木取り図」といいます。そして、この「木取り図」をもとにパーツを切り出すことを「木取り」と呼びます。山に行って材料を切り出す人はまずいないので、普通はホームセンター等で既製の木材を購入することになります。この「木取り」の際に注意したいことは、「既製品のサイズ表示」です。これはパイン材などの無垢材や、集成材にも言えることですが、「表示サイズ通りのものはまずありえない」ということです。以前のアドバイスでも説明しましたが、木材は驚くほどの伸縮を繰り返しています。特に「木目と直行する方向」に対して伸縮します。特にサイズの差異が現れるのが集成材。もともと、小片を接着して、強い圧着をかけていますので、製材時のサイズからの狂いも合わさり、かなりのサイズ違いがあるのが一般的です。ただしこの場合、製材業者もさる者で、「寸足らず」のクレームを予期して、完璧な乾燥状態での採寸をしているため、販売時では「表示サイズよりも大きい」のがほとんどです。ただしこれは、食品業界で言えば「加工食品」。製造段階から、緻密な機械的作業を行っているからこその例ですが、こと無垢材、特に「パイン材」などの針葉樹系では、ほとんど海外の「現場の製材所」からの直行品ですので、裁断精度がその「お国柄」を表します。まず木目方向の「長さ」では、「1820」表示のところが「1850」だったり「1830」だったりします。「木口」の切断面も粗く、直角が出ているものはまずありません。さすがに短いものはありませんが、「長めにしてあるのでよろしく」といった現地の人の声が聞こえてくるようです。木目直行方向である「幅」は要注意。例えば「285」表示のものが、「280」だったり「290」だったりします。これについての「現地の声」は聞こえてきませんが・・。いずれにせよ、「必要なものを納得するまで吟味して、選んだからには徹底的に賞賛する」DIY先進国人に対し、お店や商品に記載されている内容をすべてと信じ込んで購入し、買った後から疑いの目を引きずる日本人との違いからか、「サイズが違う!」というクレームがあとを絶えないそうです。そうした事実をふまえて、木材購入の際は、みずからメジャー片手に出かけることと、「木取り」の際は、既製サイズ部分を利用したパーツは避けるようにすることです。木材自身の伸縮は避けられませんが、家具制作の木取りは精密なもの。組立ての際の「1mmの違い」が、いかに作品の仕上がりを狂わすかは、経験者ならだれでも知っています。狂いを悪としない、自由な作りのカントリー家具。この場合の「悪」は、呼吸する木材の伸縮ではなく、「木取り」の際の、人間の「ミステイク」なのです。
■賢いホームセンターの利用法 2003.12.29
家具制作のための材料を購入する場合、多くの人はホームセンターを利用していると思います。昔のホームセンターは、単に物としての商品を販売するだけでしたが、近年は、より市場のニーズを考えた商品や、サービスの提供に力を入れています。市場の流行に合わせた積極的な商品導入を行ったりと、マーケティングに力を入れたりしています。また、大手のホームセンターが提供しているサービスの中で、家具制作に利用出来ることはたくさんあります。まずは「木材カットサービス」。その店で購入した木材に限りますが、「木取図」を用意すれば、その通りにカットしてくれるサービスです。1カット20円〜40円が相場です。「パネルソー」という、自分で買うと200万円以上もする大型機械工具で、精密な切断をしてくれますので、曲線以外の木取りであれば、このサービスを利用しましょう。また、意外と重宝なのが「レンタル工具」。関東の大型DIYセンター「ドイト」では、充電ドリルやジグソー、糸ノコ盤、丸ノコ、サンダー、ルーターなど、一泊料金300円〜1000円程度で利用出来ます。ただしこの場合、ブレードなどの消耗品は自分で購入することになりますが、それでも、たまにしか使わない工具であれば、こうしたサービスはぜひ利用すべきです。さらには従業員の利用。ほとんどのホームセンターでは、日本DIY協会が認定する「DIYアドバイザー」の資格取得を従業員に対して奨励しています。かならず何人かのアドバイザーがいるはず。専門的な知識を豊富にもったアドバイザーで、そうした人はもともと手作りが大好きなので、机上のものだけではない実体験から来るアドバイスもしてくれます。そうした従業員と仲良くなるのも、賢い利用法です。
■大型作品に欠かせない「板の矧ぎ」 2003.12.30
市販されている既製サイズの板ではまかえなない大きな板材を用意する場合に行われるのが「矧ぎ」(はぎ)と呼ばれる作業です。特にパイン材等の無垢材は幅が狭いため、大型作品の場合は頻繁に行われます。もっとも単純なのは、接合する双方の木材に接着剤を塗り、圧着接合する方法です。これを「平矧ぎ」と言います。ただしテーブル等の天板など、常に複雑な加重がかかるものや、接合部分の長さが600mmを超える場合には、その使用環境によって「はがれ」が発生する可能性があります。また無垢材、特にパイン材は、反りやねじれが起きやすいため、「平矧ぎ」でまかなえる範囲は少ないと言われます。本格木工の場合は、その予測荷重により、双方の板材にルーター等を使って「さね」や「相欠き」と呼ばれる矧ぎ加工を行いますが、しかしそれは匠の世界。そこでビギナーでも比較的容易に強度が出せる「矧ぎ」の方法として「ビスケットジョイント」があります。双方の板材の木端に「ジョイントカッター」を使って溝を彫り、ビスケットの形状をした木片に接着剤を塗ってはめ込みます。あとは「平矧ぎ」と同様に木材を圧着するといった方法です。金物を使わない日本古来の加工方法である「雇いさね平矧ぎ」や「ダボ継ぎ」にも似た手法ですが、接合による「目違い」(段差)もなく、専用工具さえあれば容易に行えます。このジョイントカッターは数社が発売していますが、一番手軽なのは、トリマーに装着するタイプ(バーモントアメリカン社製)です。また全ての「矧ぎ」には、ネジの締め付けを利用して圧着する「ハタガネ」と呼ばれる道具が必要になります。こうした道具工具類を使用することで、大型作品への世界が広がります。
■ダボ穴の埋め方について 2003.12.31
木工の仕上げ方法のうち、最も質問の多いのが「ダボ穴」の埋め方。日本DIY協会が監修するアドバイザー教本には「ダボ穴に接着剤を付けた丸棒を打ち込み、余分にはみ出た部分をノコで切り取り、サンディングする」とあります。たしかにこの方法は正攻法なのですが、かなりの熟練がないと、失敗の多いやり方でもあります。まずは「丸棒」ですが、一般に丸棒の素材は「ラミン材」がほとんどで、材質は堅く、ノコ引きも大変。しかもノコ引きの際に、きわを狙うと本体にまで傷が付いてしまったり、余裕を持って切ると、堅いがゆえにサンディングが大変です。しかも丸棒の膨張率が少ないため、本来は「木殺し」(先端を叩いて圧縮させることで、はめ込み後に膨張する)をしなければなりません。そこでアーリーハッチでは、「木ダボ」という、本来木材同士の接合に使用する丸棒を、あらかじめ3mm程度にノコ引きしたものを大量に用意して使用しています。この木ダボは、一般の丸棒とは異なり、接着剤の水分を含んで膨張する特性と、接着剤の食いつきをよくするため施されている「溝」(ボンド道と言います)が、このダボ穴処理に向いているため、一部の木工ファンで利用されている方法です。「木殺し」の必要もなく、材質もほどほどに柔らかいため、サンディングもしやすく、前もっての切断も楽に行えます。まれに丸棒を「糸ノコ盤」で切る方法を紹介している雑誌もありますが、膨張特性の低い材質での「木殺し」の必要性までは触れていませんし、また「機械動作する刃物工具」ではご法度の、もっとも危険な方法です。謝って指先を切ったりする恐れがありますので、板材以外のものには使用しないようにしましょう。