著作:アーリーハッチ 著者: 社団法人 日本DIY協会認定 DIYアドバイザー 首藤浩昭  著作開始日 2003.12.16

著作掲載対象:アーリーハッチホームページ http://www.hatchan.com/subtop.htm

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■知っておきたい木工用語シリーズ 「その38」 2004.9.1 (第261回)
「ドライバー」=つまりネジまわし。ただし、英語圏の人には通じない。正しくは「スクリュードライバー」となる。「+(プラス)」と「ー(マイナス)」が代表的。プラスドライバーには、その先端サイズにより「NO.1」「NO.2」「NO.3」などがあり、番号が小さいほど、先端が小さく鋭い。一般的なプラスネジは「NO.2」サイズが多い。つまり、ネジサイズに合わせたドライバーが必要となる訳で、例えば「NO.2」サイズのネジを、「NO.1」サイズのドライバーで回そうとすると、一見合っているように思えるのだが、噛み合わせに隙があるため、空回りを起こし、ネジ頭を損傷してしまう。その逆の場合では、ドライバーの方が大きいため、まったく回すことが出来ないので、すぐサイズ違いに気が付く。マイナスドライバーは、その先端幅が規格的数字となる。「ー4.5mm」とか「ー3mm」などがある。先端幅により、その厚み具合が異なる。このマイナスネジ、現在では国際標準化の波に押され、一部輸入品を除き、ほとんど使用されていないのが現状。身の回りの製品を見渡してみれば、よくわかるだろう。また最近では、プラスやマイナス以外にも、星型を変形させたようなものなど、あまり見なれない様々な先端形状のものが販売されている。ほとんどは電気製品や精密機械製品などのもので、通常のドライバーでは回せないようにした「いじり防止」のための「特殊ネジ」として用いられていたのだが、隙間商魂に長けるメーカーが、こぞってそうしたドライバーを販売するようになった。もちろん機械的素人には意味をなさない代物だが、そこは好奇心旺盛な日本人。なぜだか良く売れているらしい。さて、ドライバーは、柄の付いた「手回し用」と、ドライバードリルに装着するための「ドライバービット」がある。いずれも前述のサイズ表記が当てはまる。なお、ドライバービットとしての「マイナスビット」は、中心の定まるプラスビットに比べ、その回転時に横滑りを起こすことが多いため、あまりおすすめは出来ない。

■知っておきたい木工用語シリーズ 「その39」 2004.9.2 (第262回)
「白木」(しらき)=飲み屋ではない。誤解もあるようだが、白っぽい木の意味でもない。私はこれを「スッピン」と読む。正しくは、塗装などをまったく施していない木材を言う。つまり素材として販売されているままの状態のこと。「白木状態」というと、何だか「塗装前の未完成状態」を想像してしまうが、本来の意味は「汚れのない出来たて新品」ということになる。木材には、空気中の水分吸収や放出により、湿度バランスを整わすという自然の調整作用がある。つまり伐採された木であれ呼吸をしている。これを塗装などによりコーティングするのは、単に使用者である我々人間の好みからくる勝手な都合。ニスやステイン、オイルフィニッシュでもそうだが、そもそも着色をする目的は、「安い素材を、高い素材に見せること」から始まっている。木目を生かす塗料の「色名」を見ればよくわかる。「ウオールナット」「マホガニー」「チーク」「メイプル」等々、これらはすべて広葉樹である木材名称だ。安い針葉樹の素材に、本物を買えばとてつもない値段の、こうした高価な広葉樹に似た色を着色することで、より高級感を出そうという目的から始まっている訳だ。もちろん無塗装のままでは、汚れの浸透や自然呼吸による変形作用もあるが、「色を付ける意味」をもう一度考えて見ることも大切。「すでにある家具の色に合わせたいから」。実はその家具も、背伸びをした擬似色であることは言うまでもない。あわよくば、心落ちつくは化粧を落とした我が家の内での一時であろうと思うがいかが。

■知っておきたい木工用語シリーズ 「その40」 2004.9.3 (第263回)
「柾目・板目」(まさめ・いため)=木目具合による板材の呼び名。この講座では、過去幾度となく触れてきたが、確認の意味で説明する。「柾目」とは、その木目が一定間隔で平行に並んでいるもの。木口から見ると、輪切りにした丸太の年輪中心部から放射線状の方向での製材となり、一本の木から取れる量が少ないため、より貴重な板材とされ、一般に価格が高い。「板目」とは、木目が不規則な模様となって表れたもの。簡単に言えば、柾目以外のものを言う。つまり、一本の丸太を端から順に縦割りでスライスして行った場合、年輪中心に限りなく近い部分が「柾目」となり、それ以外の部分が「板目」となる訳だ。一般に柾目の方が狂いも少ないため、それを目的に製材すれば、価格も高くなるのは理解出来よう。とは言うものの、パイン材などの安価な多目的製材の場合、柾目・板目の拘りなどなく、かまわずスライスしている。なぜなら、他の優秀な木材に比べ、反りも激しく木肌も癖があり、耐久性や耐候性も悪いため、化粧材にも構造材にも不向きなためだ。ラジアタパイン材など、家具素材として重用する人もいるが、そのもっとも多い製材目的は、ホークリフトに使うパレット(板で組んだ土台)や、梱包材としての木枠などだ。とは言え、松科の中でも「米松」などは、日本の木造住宅の梁に、ほぼ100%の割合で使用されている優等生だ。ただし、本国アメリカでは「合板材料」としての活躍にとどまっている。話はそれたが、柾目と板目は、その吸水性に大きな違いがある。柾目は吸水性に富み、板目は防水性が高い。最近はあまり見ることも少ないが、木製の「桶」などは柾目を用いでおり、吸水することで、合わせた材ごとの絞まりをよくしている。接着剤も使わず、しかも高さのないものであるため、材同士の密着性を保つため、柾目の特徴を生かしていると言える。逆に「樽」などは、常時液体成分を貯蔵する目的から、防水効果のある板目を使用している。柾目だと水分が漏れ出すだめだ。皆さんも、身近にある木材を見渡すと面白いと思う。障子の桟、柱、床材、等々、木は暮らしの中に多くある。

■知っておきたい木工用語シリーズ 「その41」 2004.9.4 (第264回)
「木表・木裏」(きおもて・きうら)=板材の表裏のこと。これも昨日同様、過去の講座で何度か触れている。板材の表裏は、丸太のどの位置からスライスされたかで決まる。「木表」側となるのは、丸太の外側に向いている方を言う。逆の「木裏」側は、年輪中心部に向いている側となる。
なお、「柾目板」(既述)には表裏がない。こうした表裏の判断には、板材木口の「年輪の弧」を見る必要がある。家具制作において、この表裏は非常に重要なこと。そのポイントは、「反りの方向」にある。木材の反りは、その年輪の弧がまっすぐになろうとする方向に反る。つまり、木表側を正面にした場合、その両端がせりあがる方向に反り、木裏を正面にした場合は、逆に中央が盛り上がるように反る。注意しなければならない部材は「扉板」や「引出し側板」など。扉板」の場合、木表を正面にすると、両端がせりあがるため、扉ストッパーやキャッチ類が効きづらくなるのが明らか。「引出し側板」などは、木裏を外側にすると、膨らみが出るため、きつくなる可能性がある。作品制作時には反りがなくとも、板材(特に板目)の場合は、必ず反りは起こる。「板が反ってきたから粗悪品だ」と言う呆れた人もいるが、そういう人にはコンクリート製の家具をお勧めする。一般に木裏より木表側の方が、手触りも滑らかで良質とされるが、木目の印象を楽しむカントリー系家具においては、それに拘る必要はない。想定される反り具合に影響されない部材では、表裏を意識せず、木目の好みで良い。なおご承知のとおり、集成材に表裏はない。つまり、接着ざれた木片それぞれに表裏はあるものの、表裏統一で接着されているものはなく、ほとんどがランダムである。なかには、表裏交互に接着されている優秀なものもあるが、少なくとも、量産市販品にはない。「集成材は反りにくい」というのは、こうした表裏のなさに由来している。

■知っておきたい木工用語シリーズ 「その42」 2004.9.5 (第265回)
「さぶろく板」=職人用語のひとつ。「さぶろく」、つまり「3尺X6尺」の略称で、既成板で言う「910x1820」のサイズのこと。主に合板(ベニヤ)類を指す。市販品ではめったに見られないが、「しはち板」(4尺x8尺)という、ひとまわり大きな合板もある。ところで、一般に市販されている合板は、この「910x1820」サイズを大板としているが、同じく合板類のなかで、「コンパネ」という名称のものをご存知の方も多いと思う。本来はコンクリートの型枠用のものであるが、その丈夫さと価格面から、木工を含め、あらゆる用途に使用されている。このコンパネ、一見して通常の合板サイズと同じに見えるが、実際には「900x1800」を規格サイズとしている。合板の代替として利用する際は、こうしたサイズに注意が必要となる。

■知っておきたい木工用語シリーズ 「終章」 2004.9.6 (第266回)
42回に渡ってお届けした「木工用語シリーズ」。各種木工用語を解説した本は多数あるが、一様に「1〜2行の短文」による不充分な説明であったり、または説明文自体が難解で、それを確実に理解出来るくらいの人なら、最初から説明など不要と思われるものであったり、本職でさえ知らないような、まるで万葉集や古今和歌集にでも出てきそうな化石的用語や死語を、ことさら必要用語のように取り扱っているものであったり、さらには筆者自身の知識自慢であったりなど、満足のいくものはあまりなかった。今回の用語シリーズは、とある木工誌編集部ライターが、誌面編集の過程において、「解りやすい説明文を書いたつもりが、実際に木工初心者に読んでもらうと、なんのことか解らない用語がたくさんあると指摘された」という話から発した。つまり、木工関連の仕事に携わっているうちに、専門的用語が当たり前の言葉として知識化してしまったという訳だ。この話を聞いた後、私自身も猛省し、続いてあらゆる木工用語集をかたっぱしからめくり、そうした用語集自体の説明姿勢を確認したところ、やはり冒頭のような結果であった。受験でもあるまいし、知っていても役に立たないような用語は、覚えても脳みそのキャパを圧迫するだけだし、木工を趣味としながら、言葉だけの知識が勝つような人は、誰からも煙たがられるし、何より木工はある意味技術を楽しむ世界であるがゆえ、用語をもてあそぶ隙などない。とは言え、己が技術向上のためにも、必要最低限の用語知識は必要であるため、なおさら親切丁寧な文献を求めることになる。そうした要望にこたえるつもりで、この「木工用語シリーズ」をスタートした訳であるが、どのくらい参考になったであろうか。知っておいてもらいたい用語は、実はまだまだたくさんあるが、詰め込み過ぎても胃に悪いので、折を見ることにする。

初級者のための木工動作解説シリーズ 「序章」 2004.9.7 (第267回)
長編だった「木工用語シリーズ」が終わったばかりで恐縮だが、本日からは表題の「木工動作解説シリーズ」をお届けする。「木工動作」などというと、何やら難しそうだが、なんのことはない。つまりは、カントリー雑誌や木工誌の誌面内で、作品の作り方を細かに解説しているページがあるが、それを読んでみると、ある程度木工経験のある読者にはよいが、まったくの初心者や、始めたばかりの初級者にとっては、なんのことかわからない文章が多くあることに気付いた。「固有名詞」的な用語については、昨日までの「木工用語シリーズ」で、ある程度取り上げたつもりであるが、動詞的な文章、つまり作業における動作を含めた文章部分についての疑問に答えるべく、今回よりのシリーズ企画となった。季刊誌的な発売形態が中心のカントリー系雑誌編集各社においては、そろそろ「冬号」の編集作業に入る頃。どうか、絵面だけでなく、その文章内容でも、初心者の興味をひくものにしていただきたく、「解りやすい文章」、あるいは「読者は解っている筈」という思い込みのない内容にしていただきたく、既述の用語シリーズと合わせ、ご参考下されば幸いと思う。手始めは、発売されてまもない「素敵なカントリー秋号」内での文章を例に解説しよう。(明日へ続く)

■初級者のための木工動作解説シリーズ 「その1」 2004.9.8 (第268回)
「木取り図に合わせてカットする」=木工誌によく出てくる言葉。「木取り図」とは、既成サイズの板材から、どの部材をどのように切り出すかを書いた図面。こうした場合、誌面内に木取り図が掲載されているので、それを参考にカットすることになるのだが、問題は、そのカット方法だ。よく初心者の方に質問されるのは、「ノコギリは使ったことがないので、まっすぐには切れない」ということ。たしかにその通りだ。私だって自信はない。基本的に直線のカットは、「丸ノコ」系の電動工具でなければ完璧には出来ない。この丸ノコを自在に操れるようになるには、よほどの経験が必要となることは言うまでもない。つまり正直に言ってしまえば、上級者でなければ「木取り図に合わせて、正確にカットすることは出来ない」ということ。よく「ノコギリや、糸ノコ、ジグソーを使い、直線カットをする」などと書かれているが、誌面ライターの方は、本当に出来るものかどうか、ぜひチャレンジしてもらえば解ると思う。では、初心者の方はどうすればよいかと言うと、やはりホームセンター等のカットサービスを利用することが一番。ただし、すべての部分のカットではなく、あくまで「直線部分」のみにすること。デザインが伴う「曲線」や「くりぬき」などは、自分で「糸ノコ」や「ジグソー」を使いカットする。また、比較的切断距離が短く、多少の切断ズレがあっても、見た目上問題のないような直線部分であれば、糸ノコやジグソーで挑戦してみよう。つまり、木取り図による「直線カット部分」とは、ミリ単位の正確さが必要で、1ミリの狂いが、作品全体の仕上がりに大きく影響する。上級者なら誰でも知っていることだ。「木取り図に合わせてカットする」。実に簡単そうな言葉だが、木工作業でもっとも正確さを必要とした、もっとも難しい作業であると言うことを、ライター諸君は知らなすぎる。初心者は、この文章部分で、先に進めなくなる。

■初級者のための木工動作解説シリーズ 「その2」 2004.9.9 (第269回)
「それぞれのパーツを面取りする」=これも木工誌等でよくみかける言葉。切り出された各部材に、トリマーを使って各辺に丸みを付ける意味だが、あまりに説明不充分なものが多い。基本的に「面取り」には2つあり、ひとつは、「組み立ててからではトリマーがかけられない部分」を、その組み立て前の部材状態のときに行うものと、それとは逆に、「組み立ててからトリマーをかけたほうが有効な部分」への、組み立て後の面取りとがある。簡単な例でいえば、「ハートのくりぬき」へのトリマーによる面取り。外側に向く方は、組み立ててからでも面取りできるが、裏側については、組み立ててからでは作業できない。逆に、扉がはまる「枠組み」などでば、それぞれの部材が組み合わさった状態で、始めて効果的な面取りが可能となる。木工に限らず、物作りの最大のポイントは、「手際よさ」と言われる。「迷いを楽しむ」のもまた、ビギナーにとっては余暇を過ごす意味での面白さかもしれないが、あくまで危険工具を使用する以上、その効率的手順は、しっかり身に付けたいもの。刃物を持って迷っている姿は、仮に公衆の面前であれば、かなり怪しい。ひとりで迷う姿は、さらに怪しい。作品制作の過程自身も、その醍醐味ではあるが、完成の喜びには及ばない。知識と技術が必要な以上、「迷い」はいずれストレスになる。トリマーは、面取りや溝彫りなど、その先端ビットの取り替えにより、色んな切削作業が楽しめる工具ではあるが、非常に高回転な作動と、滑りやすい円筒形状、刃物部分を覗き込むための姿勢などにより、不注意による怪我が多いことにも注意が必要となる。いずれにせよ、同じひとつの作業にも、その順序があるということだ。

■初級者のための木工動作解説シリーズ 「その3」 2004.9.10 (第270回)
「ダボ穴に接着剤をつけた丸棒を埋め込んで、表面を紙ヤスリで整える」=この文面は「素敵なカントリー秋号」で多用されているものだが、同様の文章は、各木工関係誌でも見られる。「ダボ穴」とはつまり、ネジの頭が隠れる太さの穴(通常は直径8mm程度)を、深さ5mm程にあけたものを言う。この穴にネジを締め、あとは穴の径にあった丸棒に接着剤を付けて打ち込み、余分な部分を紙ヤスリでサンディングして均すということだ。旧来より正しいとされる方法では、この丸棒を打ち込んだ際、余分な部分をノコギリを使って切り落としてから紙ヤスリで均すのだが、かなりの慣れがないと、作品本体にノコ傷がついてしまう。そのため現在は、あらかじめ「ダボ穴の深さ程度」に切断した丸棒を用意しておき使用することで、こうした失敗を防ぐというやり方が主流となっている。つまり、ダボ穴の深さが5mm程度なので、丸棒も同程度の長さに切断することになるが、「そんなに短くノコギリで切るのは大変なのでは」という声も聞く。だがしかし、5mmであれ500mmであれ、ノコギリの挽き方に違いはないので、そうした心配は、長いまま打ち込んでから切断した場合での傷の方がさらに深刻である。打ち込み後のヤスリがけでは、冒頭の文章だと、多いに説明不足。おそらく初心者は、紙ヤスリの番手(粗さの種類を表す数字)を知らないと思う。こうした表面仕上げの場合は「#240」という数字のものが好ましい。丸棒の突出部分が大きく、かなりサンディングしなければ平らにならないような場合は、いったん「#120」(#240よりも粗い)を使って平らに削った後、あらためて「#240」で仕上げる。「#120」のままだと、粗すぎるため、木材表面に傷が付くためだ。また、紙ヤスリをそのまま手に持ってサンディングしてはならない。なぜなら、柔らかい紙ヤスリを、やわらかい指の腹を使って行うことになるため、効果的なサンディングにならないためだ。ヤスリを木片に巻き付けたり、市販のサンディングブロック等を使用する。またこうしたサンディングは、木目方向にかけないと、傷となって残るので注意する。

■初級者のための木工動作解説シリーズ 「その4」 2004.9.11 (第271回)
「ワトコオイルを全体に塗って完成」「オイルステインを塗って完成」=これも「素敵なカントリー秋号」内に使われている言葉。おそらく初心者の方は、字面そのままに、「塗れば完成」と誤解するだろう。ここにも落とし穴がある。「ワトコオイル」「オイルステイン」いずれも、木材浸透型の塗料。つまり、「塗る」というよりも「染み込ませる」もので、塗装の手順としては、ハケなどで作品にたっぷりと塗り付け、充分染み込ませた後、表面に残っている塗料をふき取る。このふき取りがされていないと、表面に「塗装ムラ」ができ、また「ざらつき感」が残る。「塗れば完成」ではなく、「塗った後、拭きとって完成」が正しい。決して重箱の隅が好きな訳ではない。あくまで、「簡単」とか「作ってみよう」という言葉をタイトルにするからには、その読者ターゲットは「初心者」を想定すべきと思う。ワトコオイルを使用した塗装は「オイルフィニッシュ」と呼ばれ、作品表面に塗装幕を作って、木材を保護する「ニス」類とはことなり、浸透凝固することで、木材を内部から保護するもの。ニス類の場合、表面を樹脂コーティングするため、木材自体の手触り感が損なわれる。つまり、「中は木材で、外はプラスチック」のようなものだが、オイルフィニッシュの場合、表面に塗装幕を形成しないため、自然な手触り感を残し、しかも木材自身の呼吸を止めないという利点がある。なお、ワトコオイルは、天然の植物油を主成分とするため、ふき取りに使用した布を放置しておくと、自然発火する危険性があるため、使用後は水に浸した後、燃えるゴミとして廃棄する。

■初級者のための木工動作解説シリーズ 「その5」 2004.9.12 (第272回)
「型紙を写す」=曲線デザインやハートなどのくりぬきが多いカントリー家具では、「型紙」が欠かせない。パイン材は比較的柔らかい素材のため、直接書き込むと、鉛筆の「へこみ」ができ、書き直しのため消しゴムを使っても、オイル塗装をすると、消したはずの線が浮き上がってくる。そのため、あらかじめ用意した「型紙」を使用して木材に写すのが好ましい。基本的にこうした曲線デザインは、ハートのくりぬきも含め「左右対称」である。作品正面にくる「飾り板」類もそうだし、「側板」に曲線を施す際でも、左右同じなはず。また「ハート」も同様に左右対称だ。そのため、用意する「型紙」は、その半分を作ればよい。「曲線デザインに自信がなくて」という人もいるが、どんなデザインであれ、左右対称なものは、きれいなラインとなる。子供の頃、折り紙を重ね折りし、はさみで自由にカットしたものを広げてみた時の、新鮮な感動を思い起こして欲しい。さて、この「型紙」、つまり曲線ラインを木材に写す場合のポイントは、「作品の外側に写す」ということ。曲線のカットは、「糸ノコ盤」もしくは「ジグソー」を使用することになる。両機ともに、カットした材の表と裏では、若干のズレが起きる。つまり、その人の技術の程度より、「垂直な切断」に差がある。材の裏側(内側)に型紙を写し、それをカットすると、表側となるべき側(型紙を写した裏側)のカットラインはいびつになるケースが多い。そうした理由から、型紙は材の外側に写すことになる。もちろん「表裏ともにズレは起きない」という自信のある方は、どちらに写しても構わないが、あえて裏側に写す理由はない。また、こうした「型紙」を保存しておくことで、以降の作品への利用もできるひとつの財産となる。アーリーハッチでは、およそ300枚を超える型紙を保存している。特に使用頻度の高い「ハート」の型は、紙ではなく「ベニヤ板」でこしらえている。

■初級者のための木工動作解説シリーズ 「その6」 2004.9.13 (第273回)
「材料に下穴をあける」=これも必ずと言ってよいほど出てくる言葉。作品の組み立てには、「釘」や「木ネジ」を使用する。そのいずれにおいても必要となるのが、この「下穴」だ。「下穴」とは、あらかじめ木材にあけておく、釘やネジを打つための穴のこと。「釘もネジも、先端が尖っているから、穴はいらないんじゃ・・」と思う初心者も多いのが事実。下穴の必要性については、これまでの講座でも度々解説してきたとおり、「板の割れを防ぐ」、「垂直な誘導」(場合によっては、任意の角度誘導)という目的がある。別名「案内穴」というくらいで、ネジ釘を打つ際の案内役となる訳だ。古い木工教本(新しいものにも書いてはあるが)には、「キリを使って下穴をあける」とあるが、電気のきていない地域、または、ゆえあって電動が嫌いな人、または諸事情により電動工具を持ち合わせていない人を除き、出来れば「電動ドリル」を使用して貰いたい。家具の素材となる20mm程度の板材に、キリを使って下穴をあけている様子は、まさに縄文人の火おこしを連想させ、時には本当に煙が出る。作業する側も、それを想像する側も、恥ずかしさを感じずにはいられない。この下穴の太さは、使用するネジや釘の太さによっても異なるが、基本的には「2〜2.5mm」が適当。ネジ釘を使うということは、例外なく「2枚の板を接合すること」になるため、その下穴は、「手前の板への貫通穴」となる。奥側となる2枚目の板に「下穴」はいらない。ただし、この奥側の板に「硬い節」等がある場合は、手前の板と合わせ、接合状態にした状態で、同時に下穴をあけることで、その割れを防くことが出来る。

■これだけは揃えたい必要工具 「測定用具編」 2004.9.14 (第274回)
これから木工を始める人、またはこれまで以上に効率的な木工作業を行いたい人のために、その必要工具を解説したい。いかに「意欲」と「時間」と「才能」があっても、道具の充実がなければ、よい作品は生まれないといっても過言ではない。「あるもので用を足す」のも、ひとつの工夫と才能ではあるが、ともすると、道具がないが故の間違った使い方による事故も起こり得る。そうした意味で、道具の正しい使い方と、その正しい応用法も踏まえ、解説していきたい。初回は「測定用具」から。
「メジャー」=日本語で巻尺。それを使って「線をひく」ことは出来ないが、特に長尺材料の寸法確認や、家具の置き場所の寸法取りなどに必要となり、木工以外でも、日常生活において重宝する道具のひとつ。計りたい物の端に引っ掛けての測定や、内法(うちのり)の測定が出来る。そのため、金属製の引っ掛け部分は、その厚み分だけ可動するようになっている。ときどきこれを「ぐらぐらしているから不良品ではないか」という人もいるが、もしこれが固定されていると、正しい測定が出来ないのだ。
「サシガネ」=L字型をした直角定規。「カネジャク」「マゲジャク」ともいう。長い側を「長手」、短い側を「妻手」と呼び、長手側が500mmのものが主流。幅は15mmが基本。作品の墨付けには欠かせない道具。「大工用」とされるタイプは、その目盛が「尺単位」であったり、表が「メートル」で、裏が「尺」のものもあったり、金工用で厚みを持たせたものもあったりするので、購入時には確認が必要。一般の木工では、表裏ともに「メートル」(ミリ表示)のものが良い。
「長尺スケール」=つまり長い定規のこと。特に、サシガネの長さを超える墨付け時などに重宝する。例えば、800mmの長さの直線をひく場合、サシガネでは、何回かに分けて引くことになるが、1mタイプのスケールがあれば、それが一度で済む。また正確な計測が必要な部分、特に長尺位置の場合、メージャーではその構造上、微妙な狂いが起こる場合もあるため、こうした長尺スケールが必要となる。ステンレス製の1mタイプが一般的。
「ミニスケール」=わざわざ500mmのサシガネを振りまわすほどでない、数ミリ、数センチの部分を測定する際に重宝。特にサシガネだと長すぎて入り込めない部分では効果的な活躍。長さ15cmのポケットサイズが良い。アーリーハッチ教室では、ツマミや丁番の位置決め時に欠かせないおなじみのスケール。

■これだけは揃えたい必要工具 「電動工具編その1」 2004.9.15 (第275回)
発売中の「カントリークラフト秋号」(日本ヴォーグ社)内等でも紹介したが、いまや電動工具は、木工作業に欠かせない道具。すべてを「手作業」で行えるほど世の中は暇ではなく、かつそうした技術を身に付けるのは至難と言える。ここでは、木工作業をより効率的に進めることのできる電動工具を紹介する。
「糸ノコ盤」=オリジナリティのある曲線カットやくりぬきがあってこそのカントリー家具。糸ノコ盤は、細かな曲線カットやハートのくりぬきなどに必要。アームの付け根からノコ刃までの距離(フトコロ寸法と呼ぶ)や、糸のように細いノコ刃のため、あくまで極曲線カットでの使用となる。作動音が比較的小さく、切削屑も少ないので、気軽に室内木工作業が行える利点もある。フトコロ寸法350〜400mm、価格帯3〜4万円が一般的な普及タイプ。
「ジグソー」=糸ノコ同様、基本的には曲線カットに使用する。ただし、ブレード(ノコ刃)の付け替えにより、比較的安定した直線もカット可能。糸ノコ盤と比べブレードは強固であり、なおかつ手に持って作業するので、糸ノコでは無理のある大きなサイズの板へのカット作業が可能。比較的重量のあるタイプがおすすめ。よく「重いと疲れるのでは」という質問もあるが、ジグソーは空中で作業するものではない。台上に置いた木材に対するため、その自重のあるほうが、より安定した作業が出来る。糸ノコ盤ほどの極曲線はカット出来ないが、操作に慣れると、パイン材(19t)で、直径3cmの円程度の曲線カットは出来るようになる。ポイントとなる課題は「切断面の垂直維持」。(なお筆者は、このジグソーのみの切断工具で、小型ログハウスを建築したことがある)

■これだけは揃えたい必要工具 「電動工具編その2」 2004.9.16 (第276回)
「トリマー」=トリミングとしての意味合いは同じだが、
おりからのペットブームで言うところのものとは異なる。工具としてのトリマーは、先端ビットの取り替えにより、木材の面取り(辺を丸くすること)や、溝彫り、切断など、豊富な加工作業が可能となる道具。主な作業は「面取り」だが、引出しの底板(ベニヤ)をはめ込むための溝彫りにも必要となる。滑りやすい円筒形状や高速回転から、その取り扱いには特に注意が必要となる。先端ビットは刃物であるため、その切削寿命があり、種類により異なるものの、価格は決して安くない。木工ブームにのって、各社から多数の機種が販売されているが、基本的には小細工のしようがないモーターが主役の工具であるため、「価格=モーター品質」と言って過言でない。つまり、安物買いは禁物というところだ。アーリーハッチでは、古くからプロも含めた木工愛好家が「名機」と賞賛し続ける「日立Mー6」を揃えている。
「ドリルドライバー」=一昔、いや二昔前は、ドリルといえば、パワーの問題からAC電源(コンセント式)であったが、現在では充電式(バッテリー式)が主流となっている。充電式ドライバードリルは、その名の通り、穴あけのための「ドリル」としての役割はもとより、ネジ回しの「ドライバー」として欠かせない。パワー(トルク)の見分けは、バッテリーの電圧(ボルト)表示で判断でき、パワーに余裕のある「12Vタイプ」がおすすめだ。充電式の欠点は、使用するバッテリーの寿命。メーカーや機種により異なるが、基本的にはプロ向けの上級機種で「約500回」程度、ビギナー向けの機種では「約300回程度」の充電回数が寿命の目安となる。アーリーハッチでも、常時10個ほどのバッテリーを「本体装着使用」と「予備用」としてフル稼動しているが、約3カ月ですべてが寿命となる。つまりそれだけの回数、充電を繰り返しているということだ。信頼に足りうるメーカー品でのバッテリーは、プロ用で1万円程度、ビギナー用で5千円程度と非常に高価。そうしたことを考えると、バッテリーを含めた本体価格が数千円のものは、かなり怪しいということが理解出来よう。

■これだけは揃えたい必要工具 「大工用具編」 2004.9.17 (第277回)
「カナヅチ」=当然といえば当然の必要工具。正しくは「両口ゲンノウ」の名称。頭の両面が使用でき、平らな面で釘を叩き、丸みのある面で木材に打ち傷を付けないための締め打ちが行える。この「両口ゲンノウ」、本来「ノミ」を打ち込むためのものであり、「両側で叩ける」という誤解から、いつの間にか釘打ちの本家である「片口ゲンノウ」に取って代わったことは、過去の講座で解説の通り。原始的形状の道具であるため、その利用法は多い。木工作業では、釘打ちの他に、「ダボの打ち込み」「カンナ刃の調整」「ノミの打ち込み」「ホゾの木殺し」など多用だ。木工以外では、主にストレス解消に役立ち、時には凶器にもなり得る。嘘だと思うなら、カナヅチ片手に交番の前を走り抜けて見れば良く解る。
「ノコギリ」=電動工具である「糸ノコ盤」や「ジグソー」におされ、出番の少なくなった道具。とは言うものの、木工作業に必要不可欠であることに間違いはない、いわば木工の象徴的道具。子供に「大工さん」というタイトルで絵を描かせれば、必ずと言ってよいほど、この「ノコギリ」と「カナヅチ」が登場する。学校教育でも、この両者を経験させている。つまりは、スイッチひとつで効率的作業を実現できる電動工具というものは、あくまで手工具の文明的延長の産物と言え、悪しくは自分の意思に逆らって暴走する危険性を含む。己が力を持ってして動作する「手工具」を理解出来てこその「電動」であるということを、まずもって理解することが必要であろう。ところで「ノコギリ」の出番はと言うと、あえて説明するまでもない。少なくとも釘やネジは切らないで欲しいだけだ。

■これだけは揃えたい必要工具 「金物編」 2004.9.18 (第278回)
「釘」=接合金物の元祖的存在。随分と「ネジ」に取って代わられてはいるが、やはりなくてはならない金物のひとつであることに違いない。木工作では、その強度面から、比較的小型の作品を対象とする。長さの基準は「板厚の2.5倍から3倍」とされ、特にスクリュー状のものの場合には、その引き抜き強度の効果により、2倍程度の長さでも強度保持出来る。カントリー系作品においては、素材として使用する木材の板厚が、ある程度一定なため、限られた種類と長さの釘で対応出来る。19mm厚パイン材であれば、38mm長のフロア釘が好まれる。構造部の接合以外においては、ベニヤ板等の背板を打つ場合では25mm長程度の「スクリュー釘」、10mm程度のパネリング材(背板等)では「ケーシング釘」などが妥当。釘を揃えるポイントは、数あるものの中から、あれもこれもと買い込むのではなく、いかに少品種でまかなうかということになる。
「ネジ」=釘同様に多品種が販売されている。ネジの利点は、その引き抜き強度の強さと、逆回転による取り外しが可能という点。もちろん、完成作品において、随時ネジが脱着出来るという意味ではなく(そうした作品もあるが)、間違ってねじ込んだ場合や、曲がってねじ込んだ場合等でのやり直しが楽ということ。カントリー家具においては、ネジによる接合が主流となっている。品種は出来得る限り、ひとつのものに絞り、その長さの種類を充実させることがポイント。木材が割れにくく、かつダボ穴等を損傷させない「細軸タイプ」がおすすめ。使用素材を19mm厚パイン材とすれば、2枚重ねの接合用で「30mm長」、ダボ穴での接合用で「35mm長」、下穴のみの単純接合用で「40mm長」の3種が基本となる。あとは、ケースバイケースで長いものを用意することとなる。構造用以外では、吊金具(ビラカン等)の取り付けや、キャスターの取り付け等、比較的短い木ネジ(アーリーハッチでは、「皿ネジ3.1径x16長さ」、「皿ネジ2.7径x13長さ」の2種に絞って用意している)が必要となる。釘同様に、無駄なく絞り込んだ品揃えがポイントだろう。


■これだけは揃えたい必要工具 「金物編その2」 2004.9.19 (第279回)
「丁番」=扉式の作品には必ず必要な金物。作品の統一感を考える意味でも、基本的には1種類に絞ることが基本となる。カントリー系作品での丁番取り付けは、その装飾的デザインからも解る通り、「面付け」と呼ばれる作品正面への見開き取り付けタイプが一般的。当然、付属のネジを使って取り付けることになるため、後で丁番のデザインを代えようとしても、作品にネジ穴があいてしまっているために、ほとんど不可能といってよい。あまりに奇抜なものを選ぶと、後に販売店での取り扱い中止などにより、別物を余儀なくされる場合もあるので注意が必要だ。アーリーハッチでも、月に数百の丁番を使用するが、基本的には同じ物に絞っている。ただし、比較的小さな扉など、通常の物ではおおき過ぎる場合もあることは事実。つまりは、なるべく浮気をしないアイテム準備が基本となる。
「キャッチ」=扉を止めるための金物類を指す。代表的なものには「マグネットキャッチ」「ローラーキャッチ」など。ただし、反りなどの変形が多いパイン材等では、その扉の変形により、せっかく取り付けたキャッチ類が効かなくなるケースが多い。そのため、あえてキャッチ類を使用せず、木片を利用したストッパーが一般的となる。とはいうものの、構造的に、そうした木片ストッパーが取り付けられない場合や、比較的変形による影響の少ない、小さな扉などでは、キャッチ類が使用される。


■これだけは揃えたい必要工具 「手工具編」 2004.9.20 (第280回)
「ドライバー」=この場合、電動ではなく、手回しのものを指す。「電動ドライバーがあればいらないんじゃ」という人もいるかもしれないが、そうはいかない。比較的大きい図体で、しかも重量のある電動に対し、細身で、かつ全長が選べる手回しは、狭小部分での作業や、慎重な締め込み時など、その用途は幅広い。木工用としてあらためて準備するまでもなく、ほとんどの家庭にはあると思う。それでも、木工専用として購入する場合は、無駄な品揃えの「セット物」は避けるべきだ。プラスドライバーであれば、「NO.1」と「NO.2」の2種。使用頻度の高い「NO.2」に関しては、「スタビー」と呼ばれる極端に柄の短いタイプも、ぜひ1本欲しい。マイナスドライバーは、ほとんど出番がない。
「ペンチ」=ドライバーはあっても、ペンチはないという家庭は多い。木工では、以外と重宝する道具。「プライヤー」でも構わない。曲がって打ち込んでしまった釘を抜いたり、針金や金網のカットも可能。それ以外にも、思わぬところで必要となる場合が多いので、ぜひ用意したい。
「カッター」=筆箱に納まるような小型のものではなく、一般に「大型刃」と呼ばれるものを指す。「木工でカッター」というと、そぐわないように思えるが、実は用途が多い。例えば、背板や引出しに使用する3mm程度のベニヤ板は、このカッターで切れる。アーリーハッチでもカッターを使用する。また、「型紙」の切り出しや、木材のちょっとした調整作業にも役立つ。


■これだけは揃えたい必要工具 「圧着道具編」 2004.9.21 (第281回)
「ハタガネ」=意外と馴染みない道具かもしれないが、少し木工をかじり始めれば、必ず必要となる道具。板同士を貼り合わせて、より大きな板を作る場合に、その圧着に使用するものだ。つまり、貼り合わせる互いの木材の「木端」に接着剤を塗布し、この「ハタガネ」を表裏から交互にセットし(通常は3本使用)、片端に付いたネジを締め込むことで圧着させる。後は、接着剤の凝固を待ち(通常は24時間程度)取り外す。なぜ複数のハタガネを交互にセットするかというと、片面からのみでの圧着だと、その張力によって木材が片側に反ってしまうためだ。このハタガネには、その長さにより複数の種類がある。「大は小を兼ねる」とは言うものの、長いものほど価格が結構高いので、必要となるであろう寸法範囲を見極め購入する必要がある。アーリーハッチでは、4種類の長さのものを3本ずつ用意している。またこのハタガネ、木材の貼り合わせのみならず、作品の組み立て時、特に一人で作業する場合などは、木材の反りを接合ラインに合わせ矯正させることや、接着材のみでの組み立て部分等の圧着などにも利用される。
「クランプ」=材を圧着するという点では、前述のハタガネと同じだが、比較的長い距離間での圧着を目的とするハタガネと異なり、極短い距離、つまり板厚分を複数枚挟み込むと言った程度の締め込み範囲に利用される。具体的には、木材を作業台の上に固定するため挟み込んだり、2枚の板を重ねるように圧着する場合などに使用する。その形状から「Gクランプ」という名称のものもある。さらに材料を強力に挟み込み固定するものに「バイス」と呼ばれる据置き固定式のものもあるが、木工では必要ない。

■これだけは揃えたい必要工具 「接着編」 2004.9.22 (第282回)
「接着剤」=道具とは言わないが、前項より関連のため解説する。木工作業に使用されるのは当然のこと「木工用接着剤」。ちょっと大型のホームセンターだと、いったいどれを買ったらよいか迷うほどの多品種が売られている。基本的にはメーカー違いであったり、容量違いであったり、はたまた余計なものまで引っ付くような、うるさいものだったりと、つまり業界で言う「ひっかけ商品」がやたらと多いので注意。ごくベーシックなものでよいが、極小作品以外では「速乾タイプ」は避けること。基本的に、ネジや釘固定する作品においては、「速乾」である必要はまったくなく、逆に速乾であるがゆえの弊害のほうが多いためだ。専門用語はあえて避けるが、こうした類の接着剤の場合、基本的に、「硬化時間の長いものの方が接着力が増す」といえる。つまり接着成分を含んだ溶液が、時間をかけ材の積層内に浸透し凝固するものの方が、より強固な接合を可能とする。また硬化後、無色透明になるものに対し、速乾系は白濁するものが多い。さらに、浸透凝固を望まない分、接着剤そのものの硬度を高めているため、「硬いものほど衝撃に弱い」という、物体強度の理論が見事に当てはまることも、お勧めしない理由のひとつ。

■これだけは揃えたい必要工具 「補修編」 2004.9.23 (第283回)
「パテ」=正式には「充填剤」、または「充填補修剤」。木材の節穴、釘ネジの穴、割れ目等に埋めこみ補修する。柔らかい粘土状で、付属のヘラなどで表面を均すようにする。木工用パテにもいろんな種類がある。「水性系」「油性系」「エポキシ系」他、やたら系統が多いが、基本的には「エポキシ系」という、同梱の2種類を混合することで硬化するタイプ以外は、「肉やせ」と言って、平らにしたつもりでも、硬化するにつれて徐々にへこんでいく現象がある。そのため、比較的大きな修正の場合には、硬化を待って、さらに減った部分に充填する必要がある。さらに、こうしたパテには、塗料の上塗りが出来るものと出来ないものとがあるので注意が必要。とは言っても、浸透着色の「オイルフィニッシュ」や「オイルステイン」、また同様に下地が透ける「ニス」などでの仕上げの場合は、一様にパテそのものが透けて見えるため、あらかじめ「パテの色」を、下地木材の色と近いものを選ぶことが必要となる。また、基本的に「ヘアークラック」(髪の毛のような程度のひび割れ)には、その隙間に対し、確実にパテが入り込まない限り、充填することは出来ない。これは、接着剤でも同様だ。また、釘穴程度の木材補修では、あえてパテを使用せずとも、サンディングで出た木材の粉に、オイルフィニッシュの塗料(ワトコオイル他)をたらして泥状にしたものや、同様に接着剤を混ぜ込んだものをすり込みことでも可能となる。

■これだけは揃えたい必要工具 「研磨編」 2004.9.24 (第284回)
「紙ヤスリ」=英名サンドペーパー。その用途や、「番手」(数字が大きいほど細かい)と呼ばれる粗さの数値により、たくさんの種類がある。どれを用意すればよいか、おおいに迷うところだが、一般的には4種類あればよい。まずは「#80」。
かなり粗いものであるため、大きな修正に使用する。例えば、曲線カットでイビツになってしまったところの修正などに使用する。次に「#120」。木材表面についた、比較的深い傷消しなどに使用。次に「#240」。最終的な木材表面の均し仕上げに使用。ダボ仕上げにも使用する。最後に「耐水ペーパー#400」。その名の通り耐水性があるため、オイルフィニッシュ直後の木材表面の毛羽立ちを取る作業(ウエット研磨)に使用する。また、輸入パイン材に見られる、クレヨン等を使ったマーキングについても、オイル塗装時による同様の作業で消すことが出来る。
「サンディングブロック」=名称についてはメーカー毎に色々あるが、つまり紙ヤスリを直接手に持って作業するのではなく、器具に装着、または巻き付けることによって、「面」を使用して効率的な研磨を可能にするもの。ロール式の紙ヤスリを装着して使用する「3M社」のものが代表的。またそうした専用器具でなくとも、あまった木片等に紙ヤスリを巻き付け使用してもよい。なお、パイン材など、非常に粘りのある木材の場合、研磨面の目詰まりが早いため、「ドレッサー」や「金属ヤスリ」などの、器具と研磨部分が一体となったものの場合は、非常に作業効率が落ちるため、常に取り替え可能な紙ヤスリ式のものがお勧めだ。

■これだけは揃えたい必要工具 「ビット編」 2004.9.25 (第285回)
「トリマービット」=目移りしてしまうほどの種類が販売されているが、必要となるものは意外と少ない。メインとなるのが「コロ付きボーズ面ビット」。いわゆる通常の面取り用となる。そのカーブの大きさにより数種類あるが、これについても買い揃える必要はなく、むしろどれかひとつに絞ることで、作品の統一感を出せる。装飾的な面取りのために、「コロ付きギンナン面ビット」も1本欲しいところだ。引出しの底板へのベニヤはめ込みに使用するための「ストレートビット」は不可欠。3mm程度のベニヤ用として「4mm径」のビットが適当。トリマー本体を購入すると、6mm径のストレートビットを付属している場合があるが、残念ながらほとんど出番はない。また、扉板の縁取りに溝装飾を施す場合は「U溝ビット」が必要となる。
「ドリルビット」=ネジ釘用の下穴のために使用するビットは「2mm径」がお勧め。これについては賛否両論あろうが、当店では、ダボ仕上げのための工法手順として、「下穴あけ後のダボ穴加工」を推奨しているために、2mm径を超える下穴だと、ダボ用ビットのセンター位置がぶれてしまうがゆえ、この「2mm径」をお勧めしている。ダボ用ビットは、使用する丸棒(木栓)の太さに合わせることになるが、一般的には「8mm径」が理想とされる。特にこのダボ用ビットは、その切れ味によって作品の出来映えが左右されるため、比較的早期に買いかえることとなる。ハンガーラックやキルトラック、ペグの取り付けなど、作品に丸棒類を取りつける場合には、その丸棒の径にあった「木工ビット」を用意する。この場合注意するのは、そのビットの先端部。先端がネジ先のようになっているタイプは基本的に「貫通穴用」であるため、穴を途中で止めるような場合には向かない。ダボ用ビットと同様に、先端がネジ状ではなく、キリの先端のように尖ったタイプが「止め穴用」となる。一見しただけでは解り難いので注意する。

■これだけは揃えたい必要工具 「ブレード編」 2004.9.26 (第286回)
「ジグソーブレード」=ジグソー用に限らず、刃物であるブレード(ノコ刃)は、使用を重ねるごとに確実に切れ味が鈍り、また摩擦熱やねじれ、錆び等が影響し折れる。つまり、それだけ寿命の短い消耗品と言える。常に予備の準備がないと、効率的な作業は行えないこととなる。さて、ジグソーブレードにも、その切断対象物や、曲線具合、板の厚み、切り口の仕上がり具合等により、たくさんの種類がある。切断対象としては「木工用」「金属用」「プラスチック用」「ゴム用」等いろいろあるが、おそらく木工用以外は必要はないと思う。木工用では、メーカーによるラインナップの違いや、呼称の違いもあるが、基本的には、細かな曲線用としての「極曲線用」、直線及び比較的緩やかな曲線用の「曲線用」、厚板向きの「直線用」がある。さらにそれらは、「一般切断用」と「仕上げ切断用」とに分かれる。20mm厚程度のパイン材であれば、ある程度の直線カットも含め「極曲線用」で、ほぼまかなえる。極曲線用の場合、曲線カットにおける切断抵抗を最小限にするため、その幅と厚みが薄く、逆にその分、直線カット時における垂直の維持が難しいため、確実な直線を望む場合には、幅・厚みともに強固で厚い直線用を使用することとなる。また、「一般切断用」は、「仕上げ切断用」に比べ、その切り口はがっかりするほど荒く、家具制作には向かない。仕上げ切断用は、俗に「ミガキ」と呼ばれ、その刃物部分が鋭利で、金属色に光っている。刃物部分も含め黒色に塗装されているものは、切り口の荒い一般切断用と思ってよい。価格差があるため変なところでケチると、泣きを見る結果となる。

■これだけは揃えたい必要工具 「ブレード編その2」 2004.9.27 (第287回)
「糸ノコブレード」=つまり糸ノコ用替え刃のこと。ジグソー用ほどの種類はないが、やはり「一般用」「硬木用」「軟木用」「アクリル板用」「ダンボール用」「アルミ用」など複数ある。糸ノコ盤と言うからには「糸のような刃」であることにはかわりない。「ひとつひとつの刃物形状の違い」というよりも、「ひとつひとつの刃物の間隔」と表現したほうが解り良い。木工用としては
「一般用」「硬木用」「軟木用」のいずれかと言うことになるが、パイン材については、持論として「一般用」をお勧めする。もちろん木材の堅さによって使い分けるのが基本ではあるが、たとえばパイン材に「軟木用」を使用してカットすると、あまりにも「切れすぎる」のだ。「え?」と思われるかもしれないが、車のハンドルに例えるなら、「ハンドルが小さく、尚且つ遊びがないため、ちょっとの操作でカーブする」ということになる。これは、かなり熟練したドライバーであれば、好まれる設定なのだが、一般には操作が難しい。右に曲がろうとしてハンドルを切ると、思った以上に曲がりすぎて、あわててハンドルを戻すと、今度は戻しすぎて左に行ってしまうという繰り返しの蛇行運転となる。これと同じことが糸ノコでも起こるわけだ。これが「一般用」であれば、「切れすぎない切れ味」で、少々蛇行気味の操作でも、ある程度の滑らかさを維持しながら切り進める。ただ、木材の裏側に出る「バリ」はやや多いが、トリマーによる面取りをする部分であれば、なんら支障はない。

■これだけは揃えたい必要工具 終章 2004.9.28 (第288回)
全14編に渡ってお届けしてきた「これだけは揃えたい必要工具」。欲を言えばきりはないが、無理なく無駄なく木工を楽しむための、必要最低限のものを列挙したつもりだ。本職のための木工用工作機械はたくさんある。「パネルソー」「昇降盤」「自動カンナ」「手押しカンナ」「フライスマシン」「木工旋盤」等々、木工を生業としている人なら、こうした専門的な機械や設備を取り揃えている。これら高価な機械類は、いわば量産を目的とした設備投資によるものであり、たしかに出来あがるものは、効率的であり正確であり完成度が高い。しかし、それはあくまで「商品」を生産する意味での「機械」であって、少なくも感動を伴った「ひとつのもの」を作り上げる「道具」でなはい。このごろは、物作りへの情熱よりも、なぜかこうした「道具」にこだわる人が多い。たしかに「道具がなければ作れない」のは、まぎれもない事実ではあるが、「欲しい、作りたい、感動を味わいたい」という情熱が先になければ、「道具」は「機械」へと変わる。もの作りというものは、「これがしたい。じゃあ、何が必要か」の繰り返しである。「この道具を何に使うか」ではないのである。アーリーハッチで使用する道具や素材は、すべて一般のホームセンターで販売されているものばかりだ。「自分でも出来る」を実感してもらうのに、専門家でなければ入手出来ないような機械や素材は必要ないし、また迷惑でもある。アーリーハッチの準備工具を見て、「なんだ、こんな程度の設備か」と思われる人もいるようだ。結びを言えば、生まれ来る作品の意味が、道具の評価に相殺されてはいけないのである。作品が出来あがった瞬間、道具は物でなくなる。

■ステイン剤について 2004.9.29 (第289回)
名称が似ていることから、カントリー家具の塗装として代表的な「オイルフィニッシュ」とよく混同される「オイルステイン」。オイルフィニッシュは知らなくても、オイルステインは知っているという、大工や内装業者は多い。字面は似ているが、その中身と効果はまるで違うことは、これまでの講座の中でも解説してきた。簡単に確認すると、「ステイン」は木材に色を付けるための「着色剤」であり、「オイルフィニッシュ」は木材に浸透して凝固し、反りやひび割れから保護するというもの。さらにオイルフィニッシュには、同時に着色出来るものもある。さて、今回は「ステイン剤」について述べるが、前述の内容から、必ずしも「オイルフィニッシュより劣っている」という訳でもない。まず価格面。効能が多いほどに、その価格が高いのは当たり前で、そうした意味、ステインは比較的安価でもある。反りやひび割れの影響を受けるような家具であれば別だが、小物家具であればステイン剤の使用も、何ら支障ない。さらにステイン剤は「油性」と「水性」がある。油性では「オイルステイン」が代表的。家具塗料系の老舗会社「ワシン」では「ミネステイン」が有名。浸透性に富み、合成樹脂により、表面塗幕も形成するため、着色剤とはいうものの、ある程度の木材保護効果もある。一方、水性では、やはり「ワシン」の「ポアステイン」が代表的。水性であるガゆえの扱い安さ(水で薄めることで濃度調整が可能)と、比較的均一な着色具合が特徴。そのため、、塗装後の拭き取りが不充分だと、逆に木目を活かした仕上がりを殺すこともあるので注意が必要。基本的に「ステイン剤」は、あくまで「着色剤」であるため、長期での作品保護のためには、透明ニス等での上塗りが必要となる。上塗りをしない場合、明らかな「色あせ」が起こる。

■オイル塗装について 2004.9.30 (第290回)
昨日のステイン剤同様、過去の講座で何度も触れてきた内容だが、質問の多い分野なので、ポイントをおさらいしよう。このオイル塗装。もともとの発祥は、ローズウッド・ウォールナット・チークなどの広葉樹系木材を、よりウエットな仕上がりにし、さらに家具としての美的耐久性を維持するために開発されたもの。つまり「木製家具」と言えば高価な「広葉樹に限る」としか考えなかった時代から重用されてきた塗料である。その後、オタク的専門家の世界から、より手軽に木工を楽しむ人々、特にカントリー系作品を愛する人たちが、比較的安価で容易に手に入る松系針葉樹を素材とした家具を手作りするようになり、もともとは無塗装やペンキ塗装であったフィニッシュワークを、広葉樹を真似たオイル塗装として試みることになる。広葉樹は、色や木目が多彩で材質も堅いため、せっかくだから木目をしっかり活かした塗装法がベストということで、表面コーティングするニス類やペンキ類よりも、こうした浸透型オイル塗装が定着したわけであるが、材ごとの堅さにより、その浸透度合いもことなるため、その材専用のオイルが開発されるようになる(チークオイルなどが代表的)。一方、針葉樹は材質も柔らかいため、オイル塗装をすると、広葉樹よりも素直にオイル吸収するため、逆の意味広葉樹以上に、その木目の特徴が強調された、言わば芸術的な仕上がりとなり、木工愛好家を驚かせた。欲を出したメーカー各社は、元来透明色であったオイルに色を付けることにより、「広葉樹色」に似せた仕上がりにすれば、より普及すると考えるようになる。オイル塗料の「色名」が、広葉樹のそれであることは、こうした目的から来ていることでもわかる。(さて、物語りは明日へ続く・・・)

■続、オイル塗装について 2004.10. (第291回)
(昨日より続き)一般的に材質が堅いということは、その表面からの水分やオイルの浸透性は悪い。つまり、広葉樹を対象としてきたオイル仕上げは、比較的浅い浸透に留まるため、浸透硬化による材の保護というよりも、表層内や表面部に残った塗幕が硬化して、表面から保護していると言って良い。広葉樹におけるオイルフィニッシュは、どちらかというと、材の保護効果よりも、「材が濡れた時のような仕上がり」、つまりウエット的な印象効果を求めるものであるため、オイルの浸透具合はあまり意識されにくい。ところが、パイン材など「針葉樹」の構造は、仮導管と呼ばれる中空細胞が束ねられたような作りであるため、材質も柔らかく、同時に軽い。そのためご想像の通り、オイルの浸透は、広葉樹に比べ明らかに優れ、その分逆に、「ウエットな仕上がり感」というよりも、吸い込み過ぎて表層にあまり残らないため、乾燥後はカサついたイメージとなってしまう。現在オイルフィニッシュで人気の「ワトコオイル」などは、浸透性が良過ぎる代表。そのため、よりウエット感を出すためには、乾燥後に再塗布し、拭きあげるのが好ましい。つまり、最初に塗ったオイルが、材内部で凝固すれば、2回目以降の塗装分は浸透し難く、結果、比較的表層に残ることとなり、それを拭きあげることで、ウエット感と艶が生まれる。粘度がワトコオイルよりも堅く、浸透性が悪るそうに見える「ワシン社ウッドオイル」などは、1回の塗装でウエット感が出るようだ(筆者経験による独断)。つまり、針葉樹へのオイルフィニッシュは、元祖である広葉樹に比べ、ウエット感を求めるというよりも、浸透分による材の保護効果に優れると言って良い。逆の意味、広葉樹の表面仕上げを求めたオイルフィニッシュが、柔らかく割れやすく、しかも反りやすいという弱点を持つ針葉樹にもマッチしたと言ってよい。