その1
「TVチャンピオン」で、最初に「カントリー家具職人選手権」を放送した時の視聴率は、他の選手権に比べダントツだったそう。局としては1回限りの「お試し」のつもりだったのが、あまりに反響があったので、その後、毎年5月頃にやっている(去年で3回目)。実はこの選手権の企画を局に持ち込んだのは、「カントリークラフト」の日本ヴォーグ社。最初テレビ東京側は渋い顔をしたらしいが、押しの一手でなんとかOKをもらった。じゃあヴォーグ社の誰が提案したかというと、アーリーハッチを担当しているエディターのS女史。まあ企画物の天才と言える人物だ。私が過去2回特別審査員で出演した訳も理解出来よう。
企画が採用され、放送日の予定も組まれた。と、そこまでは良かったのだが、いくら呼びかけても、選手が集まらない。たった5人集めればいいのに、「出る!」という人が一人も現れない。よく放送内で、「出場者募集」をやってるが、あれで応募する人は、まずいないそうだ。どうやって集めるかというと、各選手権には、そのテーマの利害に絡む「協力会社」、つまり企画を持ちこんだ会社が必ずある。その会社が責任をもって選手を集めるという訳だ。「カントリー家具職人選手権」の場合は、ヴォーグ社から、これまで「カントリークラフト」の誌面で作品を発表している方々に声が掛かったのだが、なんと全員拒否。もちろんアーリーハッチの首藤かをりにも泣き落としがあったが、「決勝審査員に旦那がいるんじゃおかしい」ということで免れた(当たり前だ)。撮影日も迫っている。困り果てたヴォーグ社一同。さてどうしたかというと、なんと社員5人をアーリーハッチの教室で猛特訓して、他人のふりで出場しようということになった。馬鹿な話である。もちろんそんなことがばれたらえらいことになるのは必定。まあそれだけ、切羽詰った状況ということだ。結局、編集長の脅しと、エディターの泣き落としで、なんとか選手が集まったわけだが・・・
結局、ヴォーグ社関連のカントリー家具作家中心の出場選手になってしまったわけだが、これまたやり辛い。お互いを知っているし、それぞれが「カントリークラフト」(ヴォーグ社刊)で、いつも作品を発表している。これが順位となって優劣がつけられたら、以後の人気にかかわる。最初「審査員の話は無しにして、かをりさんに出場してもらいたい」と、ヴォーグ社の編集長から話があったが、それこそチャンピオンになれなかったら売上に響くため固辞した訳だ。
選手権のテーマは、初めこそ「家具勝負」だったが、「今、リフォームがブームだから」という、局側からの急なお達しにより、リフォームも取り入れられた。「話が違う」と怒ったのは選手たち。「やめる」と言い出す選手もいて、ヴォーグ社側はおろおろ。
さて決勝ラウンド。専門家による審査だ。ヴォーグ社の編集長、神の如き崇められるカントリーデポの天沼女史、人気番組「ビフォア・アフター」で匠として2度出演した方、そして私。一個建ての各部屋をカントリーにリフォームする勝負。コメントなどいらない。歴然だった。ただ、同じ家具を作るものにとって、いかに短時間の悪条件重なるなか、どれほど苦労したかが分かった。ディレクターからは、「どんなにひどいと思っても、褒め称えるように」と注文がつく。正直引きつる。やっつけ仕事の粗さばかり目立つ。誉めるといっても「大変だったろうなあ」「こんなふうには作りたくないなあ」「リフォームされたこの家の人は可哀想になあ」という
感想しか思い浮かばない。
3人に点数をつけろと言われたので、正直に書いたら、「近差にして下さい」と言われる。勝負は近差の結果となった。

その2
「その1」では、2004年のTVチャンピオン「カントリー家具職人選手権」でのエピソードを書いたが、今回は昨年2006年の同選手権エピソードを書こう。
天クラメンバーには、同番組関係者、及び出演者はいないので(マスコミ関係が数名いるのが気になるが)、とりあえず安心して書こう。ただし口外しないことを期待する。
エピソードについては、私が知りうるものなので、つまり決勝戦についてである。決勝進出は2名。ひとりは元チャンピオンだ。この2名が、間取りのまったく同じな2軒のお宅のキッチンをカントリー家具でリフォームするというもの。結果は歴然で、誰が見ても元チャンピオン。やはり今回も「万点、対、0点」ではだめだそうなので、近差となったのが面白くない。私がチャンピオン吉田さんと面識があることは、まったく審査に影響していないことを明言しておく。
エピソードは、その対戦中のこと。「間取りが同じ」なので、キッチンのスペースも同じ。ところが、挑戦者側から、「元チャンピオン側の担当するお宅に比べて、挑戦者側のお宅は、ご主人がタバコを吸う人のため、壁がヤニで汚れているから不公平だ」というクレームがついた。「そこまで映りませんよ」といっても納得しない。そのためスタッフ総出で、収録がストップする夜間に、徹夜で壁のヤニ取り作業を行った。「こんな選手、初めてだ」とADがぼやいていた。
さて、番組を見た方は覚えているかもしれないが、敗北した挑戦者が担当したお宅の奥さんが、リフォーム後に「涙」を見せて感激していたようなシーンがある。あれは、実は「感激」ではないようだ。なぜなら、放送後、ただちに処分を始めたそうだ。もちろん、「負けた」からかも知れないが・・・。
さて勝ったチャンピオン吉田さんが担当したお宅の奥さんは、その後、アーリーハッチの木工教室にも参加され、カントリーに目覚めた。もちろん通販もご利用頂いている。負けた側の奥さんは、今どうしているだろうか・・・。
さて、負けた挑戦者側はと言えば、商魂豊かに、TVチャンピオンで紹介された家具を、すかさず宣伝販売していたらしい。


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